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Let's note 日記(CF-S21編)

1998年にLet's note CF-S21に対してLinuxインストールなどいろいろした記録です。

7月1日

* ノートPCを買う決心
ノートPCを買うことにした。主な用途は会議の議事録を取ること(笑)。今まで使っていたPCはTwinheadの486DX-66、340M、16Mだった。こいつにFreeBSD 1.1.5.1Rなんぞという古いOSを入れていたのだ。これで結構使えていたのだが、LCDヒンジの部分がぼろぼろになってきて危ないのと、ACアダプタと一緒に持って歩くと5kg以上にもなってしまって疲れるというのが問題となっていた。

とにかくWindows98が出る前に買っておかないと、Win95がもう手に入らないような気がして、急いで買うことにする。Win95プレインストールモデルを買えば、今や必ずWin98へのアップグレードがついてくるはずだ。

* 機種選定
今回目についたのはPanasonicの光学式トラックボールのLet's Note。他にもVAIOクローンマシンがいろいろありそうなので、ノートPC選択の条件をあげてみた。
* 候補はLet's note S21
ここまでの条件に合うマシンはPanasonicのLet's note(B5およびA5)、SonyのVAIO 505GSHARPのMebius PJ1(この当時、Dynabook SSはまだ未発表)。秋葉原に行って店頭デモ機をいろいろとさわってみた。その結果わかったことはメビウスとVAIOはスペースバーを叩きにくいこと。親指の手前のパームレストまたはトラックポイントのボタンが当たってしまうのだ。Let's note M32はキーが小さすぎてうまく打てない。と言ってHHKなんかをいっしょに持って歩くとなるとポートリプリケーターの分重くなってしまう。結局、Let's note S21が一番良さそうなことがわかった。また、VAIOはポートリプリケーターがないとVGAが出ない点でも不合格となってしまう。

ここでWeb上の安売り情報をいろいろ(Akiba Hotline!kakaku.com)調べてみたところ、S21発売のアオリで旧型のLet's noteがかなり安くなっていることもわかった。すでに買った人から情報を得たところ、旧モデルとS21ではPCカードコントローラが変っているらしい。Linux的に問題の多いRicohのチップから、問題の少ないTexasInstrumentsのチップに変わったとのこと。値段の差が7〜8万円あるのは大きいが、結局S21を買うことにした。PCカードチップの他、メモリ、ディスクの容量が大きな理由となった。

7月2日

* Let's note S21購入
計画通りLet's note S21を購入。ニッシンパルという安売り屋で買ってきたが、さすがに安売り屋だけあって前口上がいろいろある。初期不良が出た場合、店頭在庫があってもメーカー交換だとかいろいろ念を押された。そのかいあってか、値段は242,000円。ヤマダ電機などと比べると必ずしも安くはなかったらしいが、まあいいとしよう。
* その他の買い物
おうちでLANLANしようと思うので、ネットワーク機器も購入。100Mは必要ないので、コレガのPCカードとISAカード、pciの5ポートポケットハブ、それに10Base-Tケーブル2本をゲット。コレガのカードはLinuxで動くのを確認済。家や会社で使うためにLogicoolの3ボタンマウスもゲット。ホイール付のやつはホイールボタンの感触がイヤであきらめた。そのかわり、スリムなタイプのものを発見。
* 家に帰ってさっそく起動
箱を空けて付属品がちゃんと全部あることを確認する。先着5000台の赤いトラックボールのキャンペーン中だが入っていない。あまりほしいとは思わなかったので、まあいいかと思うことにする(実はちょっとだけくやしい)。バッテリーを装着し、ACアダプターを接続する。このACアダプターがまた軽くてヨイ。電源を入れると緑色の点がひとつ。これは初期不良じゃないのか? LCDの欠陥か。うう、メーカー送りか。

起動すると、まずWindows95の設定になる。氏名と会社名などの入力を求められ、その後タイムゾーンの設定をする。自動的にInternetExplorer 4.0のインストーラが走りだす。ここでキャンセルボタンを押して、IE3.02を残そうと思ったがダメだった。デフォルト設定のままIE4.0がインストールされてしまった。MicroSoftはこういうやり口がスマートじゃない。

再起動すると設定が終了したようだ。Active Desktopが動いているのでデスクトップは真っ黒である。さっさとアンインストールしたいが、その前にやることがある。念のためもう一度再起動してからデスクトップにある「シェルアップグレード」を実行。これはIE4.0のshellバグをfixするものらしい。これをやる前にActive Desktopをアンインストールしてしまって起動しなくなる事故が多発しているようだ。無事にシェルアップグレード終了。念のため2度再起動してからActive Desktopをアンインストールし、2度再起動する(念の入れすぎか)。

フロッピードライブを接続するために一旦電源を落とす。後部のコネクタにドライブをつけるが、このドライブは本体の左右どちら側に出せばいいのだろう。ケーブルの長さからすれば右側に出すべきなのだが、それにしてはドライブ側のケーブルは右後ろから出ているので遠い側だ。困ったデザインだ。ブートしてからシステムレスキュー用のフロッピーを3枚作る。ファーストエイドFD、CD-ROM起動FDと、Win95ブートFD。

* Corega Ether PCC-T
LANカードの付属ドライバをインストールする。カードを挿入するとちゃんと認識される。ただ、デスクトップの方はふたを開けないとカードが装着できないので、ネットワーク接続の試験はまだできない。だいぶ夜もふけてきたので、今日はここまでにする。

7月3日

* バッテリー容量の計測
S21にはバッテリーの充放電を監視する機能がある。そのコントローラーにバッテリー容量を教えるため、満充電状態から完全放電する必要がある。そのためのツール「Battref.exe」があるので実行する。約3時間かかってバッテリー放電が終了。
* LCDの常時点灯は正常
その間にPanasonicのメールサポートにLCDの輝点について聞いてみる。どうやらTFT液晶とはそういったものらしい。つまり、いくつかの輝点や黒点が出るのは避けられないとのこと。もう一度画面をよく見た結果、G輝点1、B輝点1、黒点1があることがわかったが、この数では正常範囲として、初期不良交換などの対象にはならないとのことだった。ちょっとガッカリ。でもまあ、機体の個性と思えばかえって愛着がわくような気にもなった。
* Windows95ツールのインストール
日頃便利に使っているツール群をインストールした。おっとその前に一発完全Scandiskをかけておく。問題なし。

7月4日

* デスクトップ機にLANカード
Corega Ether II ISAをデスクトップ機(Compaq DESKPRO 2000/6200---PPro200MHz)に装着、ドライバーをインストールした。TCP/IPの設定もしたが、NetBeuiを入れておけばWin95間でのファイル転送には十分。
* フリーソフト続き
昨日に引き続きフリーソフトをインストール ここで、来たるべきFIPSに備えてデフラグした。ついでにレジストリのバックアップを取っておく。

7月5日

* デスクトップ機のLinux設定
デスクトップ機のLANカードをLinuxから認識するように設定。PnPがめんどくさいので、DOSツールを使ってカードのIRQ設定をレガシーモードに変更する。無事Linuxで認識できた。相手がまだWin95しかないので、pingが通るかどうかのみを検証。
* デスクトップ機のWin95ネットワーク設定
ここまででWin95同士の通信はNetBeui経由ででき、フォルダ間でのファイルコピーもエクスプローラでできるようになった。しかし問題発見。デスクトップ機でダイヤルアップしようとすると「ファイルとプリンタの共有が云々」という警告が出てしまうのだ。そこでネットワーク回りの設定をやり直した。 これでダイヤルアップ経由ではNetBeuiも出ないし、Microsoft Network Clientも出なくなる。ファイル・プリンタを共有にしても問題なし。

7月6日

* Slackware-3.5、PJE-0.1のダウンロード
Linuxインストールの準備を開始。ちょうどタイミング良くkernel2.0.34とSlackware-3.5が出たようだ。Slackware-3.5PJE-0.1をダウンロードしてくる。これをDOSパーティションに入れておいて、マウントしてインストールしようという魂胆だ。

7月7日

* いよいよLinuxインストール開始
今日からLinuxのインストールをはじめる。
* パーティション作成
FAT32対応のFIPSを使って、パーティションを切り直す。Let's noteは出荷時に2.9GのドライブC:がFAT32になっている。デフラグののち、FIPSを使ってC:を1.7Gに縮小。これを400MずつD:、/、/homeにしようという計画だ。
* Linuxインストールブート
bare.iとpcmcia.gzを使ってLinuxをブート。このpcmcia.gzはコレガのカードが認識できるように/etc/pcmcia/configを書き換えておいたのだが、結局LANカードはインストールに使わなかった(CD-ROMを買っていないので)。何事もなくカーネルがブートした。
* fdisk
fdiskを使ってパーティションを作成する。cfdiskというCUI版のツールができたようだが、fdiskの方が慣れていて安心できた。以下のようにパーティションを割ってみた。Id=84のhda1はLet's noteが使うハイバネーション領域。
Disk /dev/hda: 128 heads, 63 sectors, 788 cylinders
Units = cylinders of 8064 * 512 bytes

Device Boot Begin Start End Blocks Id System
/dev/hda1 763 763 787 100800 84 Unknown
/dev/hda2 * 1 1 457 1842592+ b Win95 FAT32
/dev/hda3 458 458 762 1229760 5 Extended
/dev/hda5 458 458 466 36256+ 82 Linux swap
/dev/hda6 467 467 568 411232+ b Win95 FAT32
/dev/hda7 569 569 670 411232+ 83 Linux native
/dev/hda8 671 671 762 370912+ 83 Linux native
* setupを実行、ソース選択でハマる
ここでsetupを実行してSlackwareのインストールを開始する。スワップの作成や各パーティションのフォーマットの後、Slackwareソースを選択。C:を/doscにmountしておいてpremounted directoryを指定したのだが、Slackwareが見つからないよと言われてしまう。1時間くらいいろいろ調べた結果、pcmcia.gzに/var/log/mountディレクトリーが残っているのが原因でsymlinkがうまく作成されない問題ということがわかった。ブート後、このディレクトリーをrm -rfし、/doscをmountしてからsetupを実行するとうまくいった。
* Slackwareのインストール
ここまでくればしめたもの。後は必要なパッケージをexpert menuで選んでインストールするだけ。かくしてLet's note S21はLinuxマシンとなった。LILOをMBRに入れるのはまだちょっと不安なので、当分はフロッピーブートすることにしよう。
* PJE-0.1のインストール
次にPJEをインストール。jeinst.shの後、ezinstを実行。なにごともなくインストールが終了する。
* kernelコンパイルに失敗
しかしkernelのreconfigureをしようとしてコンパイルエラーが出た。どうもうまくいかない。原因追求に1時間を費したがわからない。明日linux-users MLで聞くことにして、今日はここまでにしよう。

7月8日

* 悪いのはPJEのライブラリ
昨夜のカーネルリコンパイル失敗の原因をLinux Solutionを使ってlinux-usersメイリングリストの過去ログの中からさがしてみた。なんとPJEに含まれているライブラリ(libcなど)のバージョンがSlackware-3.5に追い越されてしまったらしい。このため、jeinst.shによって上書きされるインクルードファイルなどが正しくなくなってしまったのだ。
* root partitionのインストールし直し
いろいろ悩むのもいやなので、結局「/」をnewfsからやり直した。そしてSlackwareのインストールをもう一度実行した。/usr/localを/home/localになるように内容を移動し、シンボリックリンクを張る。その後、PJEのインストールし直し。PJEのjeinst.shを書き換え、ライブラリー関係がインストールされないようにしてPJE-0.1をインストール。

コレガのLANカードの設定を行った。

* LILOをMBRにインストール
2週間くらい前にLinux FAT32 supportのページかどこかで、「LILOをMBRに入れないでloadlinを使え」と書いてあったような気がするが、今調べ直すとその情報が出てこない。結局えいやっとばかりにMBRにLILOをインストール。結果オーライなのか、その後エラーも出ずにちゃんとWin95とLinuxのデュアルブートができている。
* カーネルの再構成
ここでカーネルを作り直す。今度は特に問題もなく完了する。
* キーマップの設定
/usr/lib/kbd/keytablesに「dvorak.map」があったので、それをベースにキーマップを変更する。CAPSとctrlを入れ換え半角キーをESC、変換と無変換をAltに、バックスペースの左どなりのキーをバッククォートにした。

7月9日

* NeoMagic用Xサーバー
ちょうど今日、XBFのNeoMagic用Xサーバーがリリースされたそうだ。これはなぜかミラーされていないらしく、直接ftp.redhat.comから取って来た。NeoMagicはアクセラレータ制御のAPIを公開していないため、これまでXFree86のサーバーはアクセラレーションなしのSVGA相当のものしかなかった。今日リリースされたものはNeoMagicと情報非公開契約を結んで開発されたもので、バイナリーのみが公開されているもの。Slackwareなのでlibc5のtgz形式パッケージを取って来てinstallpkgすると、いとも簡単に動いてしまった。

NeoMagicサーバーには設定の自動判別機能があり、XF86Configの"Device"セクションには

Section "Device"
Identifier "NeoMagic"
EndSection
と書いておくだけでよい。これだけでチップがNM2160であるとか、VRAMがいくつあるとか全部検出してくれる。

XF86Configでもう一つ変更した点はマウス。Slackware-3.5から、gpmがデフォルトで動くようになった。Xサーバーのマウスデバイスには、gpmのリピートデバイスを指定してやらないとポインタが動かない。ここでハマる人は結構多いようだ。

Section "Pointer"
Protocol "MouseSystems"
Device "/dev/gpmdata"
Emulate3Buttons
Emulate3Timeout 50
EndSection

7月10日

* VFATで日本語ファイル名
を使えるようにするパッチを当ててカーネルを作り直す。kanji.hがインクルードできないというエラーを出してコンパイルが止まってしまった。fs/vfat/vfatfs_syms.cに当たったパッチを見てみたが、結局kanji.hは必要ないとのこと。この#includeを消してやり直し、無事コンパイル終了。

しかし、漢字のファイル名がどうも化けてしまう。あちこちいろいろ調べたり、パッチ作者の川口さんにメールで聞いてみたりしたが、答えは簡単だった。GNUのlsがunprintable characterをエスケープしてしまうのだった。この機能を止めるためには、環境変数LS_OPTIONSに「-N」を加えればよい。

* ack 1.39
文字コード変換ツールackをインストールした。なんとなくnkfより好きで使っている。

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maeda@tokyo.pm.org
Last updated on: Apr 23, 2001.
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